【妊夫は思う】「妊娠は病気じゃない」発言に潜む危うさ
妻がマタニティーマークをつけるかどうかを話した際に、
「妊婦様とか自己主張激しいとか思われるのかな」
と言っていたことがありました。
お恥ずかしい話、妊婦様という言葉やマタニティーマークが妊娠アピールになっているという認識が世間にあることを僕は知りませんでした。
そしてそういった発言・発想が出てくることが非常に残念でならなかった。
まだまだ理解が進んでいないのだなと。
そんな中、先日ついに最たる例である「妊娠は病気ではない」という言葉を妻が受けてしまうという事態がありました。
その方も色々思うことがあっての発言だとは思います。
しかし、妊娠は病気ではないからこそ大変なのではないでしょうか。
今の妻のつわり具合を見ていると、病気レベルで大変な状況に見えてしかたありません。
・始終気持ち悪くて、ちょっとした匂いや味で吐いてしまう
・つらくて家事も仕事も手に付かない。
・できることなら寝ていたいのに、寝ていると余計に気持ち悪くなる。
・食べてもダメ、食べなくてもダメ。
もし男性にこの症状があったら、割と重めの食中毒や風邪を疑いますよね?
そして市販薬ないしは処方箋を飲んで安静にするでしょう。
しかしつわりは、いつ終わるかもわからないし何より治療薬がほぼありません※1。
(そもそも市販薬はその成分が赤ちゃんに行ってしまうので飲める薬が非常に限られています。)
※1 薬がないことはないのですが、効果があるかどうかは人によりますし基本処方箋となります。また医師からは体重が数キロ落ちるようなことがない限りは胎児に影響ないので耐えましょうというアドバイスがあります。
なぜ、これが「妊娠」というワードによってあたかも「超えるべき壁」のようになり、
努力でどうにかしてくださいという精神論になってしまうのでしょうか。
おそらくは、妊娠した女性は皆乗り越えてきたという謎の圧力と、
妊娠と言うことがあくまでおめでたいジャンルの中の出来事であるからだと思います。
「みんな頑張ってるんだから」
「もっと辛い人もいる」
「つわりを超えてお母さんになるんだよ」
などはよく聞くワードです。
たしかに子供ができることはとても幸せなことです。
しかし、その幸せがあるからといってバーターに辛いつわりを努力と根性でなんとかしろと言うのはあまりに横暴ではないかと思うのです。
こういった場面は、こと妊娠に限らず、女性の社会進出のなかでは常について回ってきたことで、いまだ解決されていないことなのではないでしょうか。
女性の社会進出や1億総活躍社会だのと言われておりますが、
制度や法律だけで世の中があまり変わっていかないのはこういった共感と理解と、
それに対する優しさに欠けている「無言の圧力」によるものであり、
先の「妊娠は病気じゃない」という発言がそういった圧力が可視化された結果なのかもしれません。
はたして、そういった圧力があるなかで安心して産み育てようと思える人がどのくらいいるのか。
極論かもしれませんが、少子高齢化や女性の社会進出の遅れはこういった無言の圧力も一因なのかもしれません。
もしそうならば、「妊娠は病気じゃない」という発言の裏に隠された社会的な思想は別の場所で形を変え新たな問題の種となっていると考えられるのではないでしょうか。
せめてそれぞれの家庭内だけでも、そうでない日がくることを願っています。
今日の教訓「夫は妊婦の最大の理解者であり続けるべし。」
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